健康のひけつ
早期発見・早期治療で健康を守る
からだが見えるエコー検査が大活躍
臓器の異常を早期に発見する上でエコー(超音波)検査は必須のアイテムです。外見からはわからない内臓などからだの中を直接見ることができるすごい検査なのです。エコー検査のことを知って、健康維持に役立てましょう。
エコー検査のふしぎ
エコー検査では、どのようにしてからだの中が映し出されるのでしょうか?
超音波の反射(エコー)が画像に
超音波とは、人間の耳で聞き取ることができない高い周波数※1をさします。
音は、“やまびこ”のように山に反射(エコー)して返ってきますが、その時間によって山との距離が違うことがわかります。
イルカが超音波でエサを探し出したり、コウモリが暗闇でも障害物との距離を測るときにも超音波を発しています。同じように超音波は魚群探知機にも応用されています。
医療用超音波では、臓器からの距離を画像にして、形や明るさで表現しています。
※1人間が聞き取れる音域は約20~20,000Hzで超音波装置は約3MHz (3,000,000Hz)以上。腹部は3~5MHz、乳腺・甲状腺・血管は7.5~14MHz
身体に安全、無痛
エコー検査は、胎児の検診でも使われるように安全です。痛みもなく、他の画像検査のような放射線被ばくもないので、スクリーニング※2に適しています。
※2健康な人も含めた集団から、疾患発症者や発症が予測される人を選別する手法
エコー検査でわかる
内臓を目で見て診断

- 腹部(臓器)
- 肥大や萎縮の有無、び漫性変化や炎症の有無、腫瘤の有無、形態異常、のう胞・結石・がんなどの腫瘍の有無
- 乳腺
- 腫瘍やのう胞の有無、乳管の変化
- 甲状腺
- 大きさ、形態、腫瘍の有無
- 頸動脈
- 血管壁の厚さ、プラーク・狭窄・血栓の有無、血流・動脈硬化の状態
DATA FILE

腹部のエコー検査では、自覚症状がなく、なかなか病変に気づかない肝臓、膵臓などの異常を早期に発見することができます。(日本消化器がん検診学会 統計より)
がん
発見率順位 | 悪性腫瘍(がん) |
---|---|
第1位 | 腎臓がん |
第2位 | 肝臓がん(原発性) |
第3位 | 膵臓がん |
第4位 | 肝臓がん(転移性)、胆のうがん |
もっとも多く発見されるのは腎臓がん。早期のがんは自覚症状もなく、尿検査や血液検査では異常がみられないことがあり、エコー検査で初めて発見されることが多い。
脂肪肝
臓器 | 高発見率所見 |
---|---|
肝臓 | 脂肪肝 |
胆のう | 胆のうポリープ |
腎臓 | 腎のう胞 |
膵臓 | 膵のう胞 |
肝臓の細胞に脂肪(中性脂肪が主)が蓄積した状態。原因は過栄養・肥満・アルコール・糖尿病・高脂血症によるものが多い。脂肪肝は自覚症状がほとんどありません。

脂肪肝は、肝臓に脂肪が沈着しているために全体に白っぽく映ります。そのため肝臓と腎臓が白黒はっきりとして見えます。このことを脂肪肝に特徴的な‶肝腎コントラスト″増強といいます。一方正常肝では、肝臓と腎皮質のエコーレベルはほぼ同じ濃さで肝腎コントラストは認められません。
エコー検査クイズの回答
正解② ゼリーは空気の隙間をなくすために使う
音の伝わる速さは、空気中(約340m/秒)より水(1500m/秒)の方が速いので、生体に近い成分でできたゼリーを使って、超音波が伝わりやすくします。また、ゼリーには滑りやすくして機器(プローブ)の動きを良くする効果もあります。
- 更新日:
- 2015年3月1日
- 発行者:
- 公益財団法人 明治安田厚生事業団
- 元記事名:
- MYヘルス・ブレティン
「第3号特集 早期発見・早期治療で健康を守る 体が見えるエコー検査が対活躍」