健康のひけつ
胃がんのリスクをご存知ですか?

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に由来する萎縮性胃炎は、胃がんのリスク因子です。

血清のピロリ菌抗体とペプシノゲンを検査することで、胃がんリスクの程度が判定できるようになりました。

この胃がんリスク検診(ABC検診)と、定期的な内視鏡検査によって胃がんを早期発見し、適切な早期治療によりリスクを軽くすることができます。

ピロリ菌
内視鏡で見た萎縮性胃炎(黒い棒状は内視鏡です)

ABC検診の対象となる方で、B群とC群の方は消化器内科でピロリ菌の除菌治療を受けることができます。除菌が成功すると胃がんのリスクは3分の1に減少しますが、その後も定期的な内視鏡検査は必要です。

下の表、A群とD群の方には除菌治療は必要ありませんが、A群の方は5年毎に内視鏡検査を受けることが望ましく、D群の方は毎年内視鏡検査を受けることが必要です。萎縮性胃炎は急速に進むものではありませんので、ABC検診は5年毎に受けることでよいでしょう。

どうしても内視鏡検査を受けたくない方は、これまでどおり毎年X線検査を受けてください。

胃がんリスク検診(ABC検診)によるリスク分類

自覚症状がある人、過去5年以内に精密画像検査を受けていない人は内視鏡検査が必要です。

  • ABC検診対象外、注意を要する人
    • 食道・胃・十二指腸の症状が強く疑われる人→保険診療の対象
    • 食道、胃、十二指腸疾患で治療中→保険診療の対象
    • プロトンポンプ阻害薬(胃酸分泌抑制薬)を服用中または2か月以内に服用した人は、ペプシノゲン値が高く陰性に出る場合があるため注意が必要
    • 胃切除をした人、腎不全の人は、ペプシノゲン値で正確に判定できないので注意が必要
  • 血清ペプシノゲン値の基準値
    PGⅠ70μg/l以下かつPGⅠ/Ⅱ比3以下を陽性
    参考文献:NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構『胃がんリスク検診(ABC検診)マニュアル』
更新日:
2014年11月7日
著者:
明治安田新宿健診センター 医師 進藤 仁
元記事名:
医師のコラム
第2回:胃がんのリスクをご存知ですか?